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12月のおだいしさまのことば

このお言葉は、お大師さまが中国の六朝・唐時代の詩文の評論や漢文、漢詩の規則、創作方法などをまとめた『文鏡秘府論(ぶんきょうひふろん)』に記されています。

「詩文の評論?漢詩の創作方法?」と思われた方もいるかもしれません。確かにお大師さまは宗教家としてのイメージが強いですが、実はその他にも様々な分野に精通されており、文筆家の側面もありました。それは、演劇の台本の様に文章が綴られる『三教指帰(さんごうしいき)』や後世に編纂された詩文集『性霊集(しょうりょうしゅう)』から窺うことが出来ます。

お大師さまは、桓武天皇の皇子の教育係を務めていた伯父・阿刀大足(あとのおおたり)のもとで早くより勉強し、15才で伯父に伴い奈良の都に上り中国の書籍や言葉、詩、文章を学び、18才の時に大学で儒教などを修められました。その中で培われた文章力、表現力で綴られた文章は世の人々に感動を与えました。

宗教家として多方面に学び、培ったものを自分の為ではなく一人でも多くを救う為の手段とされたのです。そのようなお大師さまのお姿が今でも多くの信仰を集める理由の一つなのではないでしょうか。