法話板

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2月のおだいしさまのことば

本年は「弘法大師ご誕生1250年」の佳年に正当します。連綿と続いてきた信仰と想いを目の当たりにし、お大師さまを信仰する者として、この時を迎えられたことに感慨深い気持ちを抱いています。

仏教では「法を伝え、受け継いでいく」という意味で「相承」という言葉を用います。今日、我々が仏教に巡り合えたのは、法を次の世代へと相承してくださった人々の奮励努力、篤い思いがあったからこそと言えます。

ところで真言密教では、あたかも器から器へ水を移すかのように、師から弟子へと法を伝えます。それは密教の奥深い教義が、経典などの文書のみで会得することができないためです。そのため真言密教では師資(師匠と弟子)による相承を重要視し、教えの真髄を対面して直接的に伝えます。

夢のお告げをいただいたお大師さまは、久米寺の東塔にて『大日経』と出会います。そこには印相や真言などの専門的な部分の内容も説かれ、それを授けることのできる師を求めて、命を賭し入唐しました。そして青龍寺において恵果和尚より密教の奥旨を親しく受け継ぎ、日本に弘められたのです。この教えと想いを次世代に繋げることは、お大師さまへの恩返しといえましょう。