法話板

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3月のおだいしさまのことば

言葉とは不思議なものです。それは五十音が連なっているに過ぎませんが、決まった順序で示すことによって、確かな意味をもったものとなります。同じ言葉を用いても、人それぞれに印象や重みに変化が生じるのは、言葉一つ一つに特別な固有性が生じるためでしょう。

お大師さまの言葉は、千年以上を経た現代においても色褪せることなく、光を放って我々の歩む道を照らしています。それらの著作は経典や真言密教の教義内容を示したものに始まり、詩文作成の助けになる『文鏡秘府論』、朝廷への上表文や日常的な書簡などを集めた『性霊集』等、多様な形で伝わっています。これらには当時の思想や重要な教えが示されつつ、自然の情景や、ご自身が見聞された体験や思い等が綴られています。

出典の『三教指帰』は儒教・道教・仏教を比較することによって、仏教が最も優れた教えである旨を提示したもので、お大師さま24歳の時の執筆です。またご自身の出家を宣言した書でもあります。今回のお言葉は、お大師さまが心より感じた仏教の卓越性と、仏道を歩む決意を表現した奥深い一文であると言えましょう。

お大師さまが本格的に仏道修行に打ち込む宣言をした本書には、秘められた思いが凝縮されています。それを想起して文章を拝読するのも魅力の一つと感じます。